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北の都にかつてあった、ある女子寮の記録と思い出

27 自炊室で洗髪する不逞の輩

 特に冬多かったのが、自炊室で洗髪する者。バイトが遅くなったり寝過ごしてしまったりして、寮風呂や銭湯に間に合わなかった者が、せめて髪だけは洗いたいがしかし極寒の冷水ではちょっと、と思って深夜こっそりと洗うのだ。給湯器の蛇口の下に頭を差し出して実に器用に洗う姿には感心したが、あまり褒められた行為ではない。

26 真冬の夜の食堂のこと

 人も途絶える深夜の食堂は暖房もなく冷え切っていたが、わざわざ延長コードを持参し、PCや電気ストーブを持ち込み、夜中まで勉強している者や、なにか秘密の相談をしている者、語り合っている者がちらほらといた。

 あの頃そうやって刺激を与えあった仲間たちのうち殆どとは、もはや音信不通となっていることは悲しいことではあるが、現在まで付き合いが幸運にも続いていたとしてもあの頃と同じような関係が続けられたとはあまり思えない。夜中まで一緒にいても気にならない、いつまでも語り合っていたいと思えるほどの友情の熱さは、あの時代あの年齢だったからこそ生まれたものなのだろうなと、今になれば思う。

14 七夕夕食会

 寮生時代、7月7日には「七夕夕食会」という定例行事があった。お寿司やオードブルを寮の経費で購入し、食堂でみんなで食べる、ただそれだけのささやかな催しだ。絶対参加ではなく有志が集まるだけだったため、寮内でも知名度が低いイベントだったが、れっきとした恒例行事である。私は4年間欠かさず参加した。いつもお腹をすかせた年頃の女の子たちにかかれば、山盛りのごちそうもものの15分で無くなった。

はじめに(本ブログの説明)

<2024.01.10>

◆当ブログは、管理人が2000年代半ばから4年間を過ごした、とある国立大学女子寮(2023年3月末をもって廃寮)についての思い出や記録を整理・公開しています。

◆当時に関する資料が殆ど手元になく、自身の記憶を裏付けるすべが過去書いた日記やブログ記事の記述、写真などに頼っているため、細かい事項(時期、名称、場所など)に誤りがある可能性があります。なんとか正確に綴ろうと考えていますが、裏付けとなる資料の乏しさから、誤りのまま公開されている記事もあろうかと思います。

お気づきの点があれば、指摘いただければありがたいです。

◆ゆくゆくは、以前撮影した寮内の写真などもアップしていきたいと考えています。

◆なお、記事タイトルの先頭のナンバーは、個人備忘録の記事番号です。