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北の都にかつてあった、ある女子寮の記録と思い出

2024-01-02から1日間の記事一覧

入寮時に持たされた電気ポットのこと

寒い冬の夜は、今でも湯を沸かし、小さな湯たんぽを作る。一人でキッチンに立ちヤカンを火にかけていると、冬の夜の自炊室のことを思い出してしまう(なぜか、思い出の中は冬が多い)。 入寮当時、母が持たせてくれた数少ない持参品の中に、小さな電気ポット…

35 寮の中庭の白梅のこと

2月も半ばを過ぎれば、寮の中庭の白梅にもちらほらと白い花が咲いた。北陸では、2月半ばは一番雪深い頃である。ぼたぼたと降る重たい雪が、花に枝に積もるのを、居室の窓から眺めていた。あの頃はよく窓から外を眺めていたっけ。 昨年春に静かにその歴史に…

27 自炊室で洗髪する不逞の輩

特に冬多かったのが、自炊室で洗髪する者。バイトが遅くなったり寝過ごしてしまったりして、寮風呂や銭湯に間に合わなかった者が、せめて髪だけは洗いたいがしかし極寒の冷水ではちょっと、と思って深夜こっそりと洗うのだ。給湯器の蛇口の下に頭を差し出し…

26 真冬の夜の食堂のこと

人も途絶える深夜の食堂は暖房もなく冷え切っていたが、わざわざ延長コードを持参し、PCや電気ストーブを持ち込み、夜中まで勉強している者や、なにか秘密の相談をしている者、語り合っている者がちらほらといた。 あの頃そうやって刺激を与えあった仲間たち…

14 七夕夕食会

寮生時代、7月7日には「七夕夕食会」という定例行事があった。お寿司やオードブルを寮の経費で購入し、食堂でみんなで食べる、ただそれだけのささやかな催しだ。絶対参加ではなく有志が集まるだけだったため、寮内でも知名度が低いイベントだったが、れっ…